株式会社長村建築事務所
nagamura.architects & associates office
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犬丸こども園
所在地 小松市松梨町 地内
竣工年 2025年
2022年5月10日、犬丸こども園の建設候補地を視察しました。
板津中学校横の2つの候補地と新幹線に近い候補地の3ヶ所です。新幹線に近い敷地から中学校体育館の上に白山の頂上がはっきりと見え、迷いなく敷地を決めました。
設計は白山を意識しています。玄関の先や、2階遊戯室の舞台の向こうに、白山があります。この軸線と新幹線の線路がつくる角度から、遊戯室の10角形を決めました。遊戯室の屋上に出ると、360度ふるさとの風景が見渡せます。JRや新幹線も、飛行機も、青々した田んぼも見えます。このふるさとの風景が、こどもたちのこころに心象風景として残れば良いなと考えました。
設計にあたって、どんなこども園を将来に向けて創ったらいいのか、先生方と何度も議論しました。他のこども園の見学も行きました。その中で富山の青葉保育園が興味深い考え方で作られており、参考にさせて頂きました。
私がこどもの昭和の頃、幼稚園が主流で、こどもたちは幼稚園後、自宅の前の道や神社やお寺の境内で遊んだりしていました。現在多くのこどもたちは、朝8時頃から夕方18時頃までこども園で過ごします。起きているあいだは、家庭より、こども園で過ごす時間が長くなっていると思います。だとしたら、家で落ち着いて過ごすような・・・住宅のような、こども園ではどうかと考えました。
未満児の保育室はリビングがあり、ダイニングがあり、又寝室があります。時代と逆行するような段差も有ります。ここでは洗面台や食卓は、普通の家庭の高さと同じようにつくられています。先生が抱っこして踏み台に上げるのではなくて、こどもが自力であがり手を洗うようなことを考えています。先生は、自力で成長するこどもを、見守るような過ごし方を想定しています。手をださない。難しい選択です。
また、先生方から、継続して遊べる保育や、年齢の違うこどもが一緒になって過ごせる保育をしたいとのご意見が多くありました。
保育室以外に積木の部屋や工作の部屋やお絵かきの部屋が有ります。お昼寝や食事の前も後も、お片付けすること無く引き続き遊べます。作りかけのブロックを棚に置いて次の日続きを作るとか、年齢の違うこどもが一緒になって大きな作品を作ることも出来ます。
2階の未満児の寝室の横に病後児保育室を用意していますが、普段は、ここでも年齢の違う未満児が、畳の部屋で一緒に遊べます。
仕上についてですが、できるだけ自然素材の材料を選定しました。裸足でも気持ちよい床の仕上としています。ナラやカバのフローリングに、階段はスギを使い、2階のテラスの床は豆砂利洗出しです。また、外壁も内壁も木材をふんだんに使っています。廊下や食堂では、能登の珪藻土の塗壁としています。
園庭は、金沢美術工芸大学の、鍔さんに設計していただきました。各室から直接出られるテラスと連続して、園庭と園舎一体となっています。
遊戯室を出て右手の柱に、タペストリーがあります。染色家でデザイナーの「ゆのきさみろう」さんの、「生命の樹」という作品です。この園にふさわしいと思い、当社から寄贈させて頂きました。